『私の少女時代~Our Times~』

青春映画の佳作を次々送り出してくる台湾から、また1本、2015年の大ヒット作『私の少女時代~Our Times~』が日本上陸。2011年のヒット作『あの頃、君を追いかけた』がモテないオタク男子の妄想てんこ盛りで振り返る青春なら、こちらは平々凡々な女の子が主人公。『あの頃、~』にはイマイチ共感しきれなかったという女性たちにも楽しんでもらえると思う。


舞台は1990年代。アンディ・ラウのお嫁さんになることを夢見る高校3年生の林真心(リン・ジェンシン)は、外見も成績もぱっとしない女の子。この年齢の女の子の類に違わずイケメンが大好きで、学校一のイケメンに片思い中だが、彼はどうやら、これまた学校一のアイドル女子と付き合っている様子。あるきっかけで校内を仕切る不良男子の徐太宇(シュー・タイユー)と関わるようになった真心は、協力して2人を別れさせようとするが…。

 

青春ラブストーリーとしてベタすぎるぐらい王道の展開をみせるが、だからこそ幅広い層のストライクゾーンにささる作品に仕上がっている。カセットテープや文房具など、時代を感じさせる小物やファッション、流行曲も問答無用で郷愁を誘うし、「あ!」と驚く大スターが意外なところで登場するなど、見どころを散りばめていて飽きさせない。監督の陳玉珊(フランキー・チェン)は、映画監督としては本作が1本目となる新人だが、「秋のコンチェルト」「ハートに命中!100%」など数々の台湾アイドルドラマや大ヒット中国時代劇「蘭陵王」を手がけた敏腕女性プロデューサーであり、女性のハートをがっちりつかむドラマ運びのコツを心得ている。

 

なんといっても、「不良だけど男気があって好きな女子には優しい」という太宇のキャラクターが鉄板ながら魅力的だ 。演じる王大陸(ダレン・ワン)は、石原軍団にいそうなちょっと懐かしいタイプのハンサムで、この作品に見事にマッチ。日本の芸能界に多い線が細い若手俳優たちを見慣れた目には、とても新鮮に映る。

 

共感ポイントの多い作品とはいえ、「こんなマンガみたいな素敵な男子、私の青春にはいなかったわ!」という嘆きも聞こえてきそうだが、そこは厚かましく記憶をすり替えてキュンキュンしながら楽しんで欲しい。ただ、あまりに映画がきらきら眩しいので、現在の生活に疲弊しているアナタ!は、映画館を出たあと即"『私の少女時代』ロス"に陥る可能性があります。ご注意ください。

 

『私の少女時代~Our Times~』は7月23日、「カリコレ2016/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016」で先行プレミア上映(http://qualite.musashino-k.jp/quali-colle2016/)。

『私の少女時代~Our Times~』
原題:我的少女時代
監督:陳玉珊(フランキー・チェン)
出演:宋芸樺(ツォン・イーホア )、王大陸(ダレン・ワン)
配給:ココロヲ・動かす・映画社 ◯
公式サイト:http://maru-movie.com/titles/our-times/
新宿武蔵野館にて今冬公開

(c)ココロヲ・動かす・映画社 ◯

 

執筆者=新田理恵(フリーライター&エディター)


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